7-12. 真核細胞で利用されるマーカー
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1) 薬剤耐性遺伝子
真核生物で使う抗生物質耐性遺伝子として、タンパク質合成阻害剤であるネオマイシン、カナマイシン、ハイグロマイシンといったアミノグリコシド系薬剤、そしてピューロマイシン、ブラストサイジン(原核・真核双方で効く)に関する耐性遺伝子がある
例えばネオマイシン(G418といわれる名称の薬剤)は細胞を殺すが、耐性遺伝子(Neor)があると薬剤をリン酸化して不活化するので、細胞は死なない
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上とは別に、ヒスチジノール(タンパク質合成阻害活性をも合成化学薬品)耐性遺伝子などもよく使われる
2) 代謝欠陥を補う遺伝子
増殖に必須な酵素遺伝子が働かずに細胞が死んでしまう状況下でも、外からベクターとともに酵素遺伝子が導入されると、細胞は増殖することができる
このようにして使われる遺伝子には、核酸合成系酵素に関するものが多い
TK (チミジンキナーゼ)遺伝子やDHFR(ジヒドロ葉酸還元酵素)遺伝子は、それぞれの遺伝子欠損動物細胞で使うことができる
他方ecogpt(大腸菌キサンチングアニンホスホリボシル転移酵素)遺伝子はどのような細胞でも使える
酵母では、必要要求変異株に応じて、様々な遺伝子が使われる
memo: マーカーとしてTK遺伝子やecogpt遺伝子が使える原理
HAT培地中ではアミノプテリン(A)でプリンヌクレオチド新生合成とチミンヌクレオチド合成が阻害されるが、ヒポキサンチン(H)とチミジン(T)(TKなどを介して結果的にdTTPがつくられる)があると細胞は生存できる
TK-細胞はHAT培地中で増殖できないが、TK遺伝子の導入により増殖できるようになる
一方ミコフェノール酸はIMP(イノシン酸)からXMP(キサンチン酸: グアニル酸(GMP)の前駆体)への経路を阻害して細胞増殖を止める
しかしキサンチンからXMP、あるいはグアニンからGMPをつくる大腸菌の酵素(E. coli由来XGPRT→Ecogpt)が供給されると増える
哺乳類の類似酵素(HGPRTあるいはHPRT)はヒポキサンチンとグアニンは利用できるがキサンチンは利用できないため、キサンチンを用いると、通常の細胞においてecogptが生存マーカーになる
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3) 致死遺伝子
ジフテリア毒素はその毒性で細胞を殺すが、毒素遺伝子がインサートの挿入で破壊されると生存できる
チミジンキナーゼは無害なガンシクロビルをリン酸化してDNA合成阻害性の毒性物質に変えるため、TK遺伝子を致死遺伝子としても使うことができる
つまりTK遺伝子は、細胞の生存と死の両方の目的に使用することができる
4) レポーター遺伝子
レポーター遺伝子
動物細胞ではルシフェラーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)、β-ガラクトシダーゼ(β-gal)などを使う
植物細胞ではGUS(大腸菌のβ-グロクロニダーゼ)遺伝子を使う
β-galは植物が本来もっているために使うことができず、代わりにGUSを使う
細胞抽出液中の酵素活性を測定するが、発色・発光マーカーであるGFPやβ-galは細胞のままでも検出できる
レポーター遺伝子をもつベクターの利用法
プロモーターやエンハンサーの検出と測定
転写制御因子の検出と測定
タンパク質間結合性の解析
e.g. ツーハイブリッド法
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